李浩麗(Vo)
金山安佐子(P)
木村知之(bs・編曲)
ゲスト:光田臣(per)・王秀華(二胡)

¥2500(税込)

 今回のアルバム選曲を始めたとき、私の頭に浮かんだのはこのような内容の曲を入れていきたいと思いました。今の自分にとってもきっと、とても大切なことと思ったからです。選曲したものには故郷台湾民謡や中国の曲、いまも日本で歌い継がれている素晴らしい曲、そして最近になって私が歌い残したいと思う曲を選びました。
 私自身、音楽の勉強は西洋音楽を中心にやってきたなかで、今こそ自分の国や生まれ住んだ日本のトラディショナルなど、アジアの音楽文化をもう一度見つめなおしたいと言う思いに駆られました。東洋の唄に随所西洋音楽のエッセンスを加えた木村知之さんのアレンジ。 果たしてどんな仕上がりに・・・。
 半年にわたって、じっくりゆっくり納得いくようなレコーディングを行いました。一音、一フレーズ、大切に音を紡いで半年かけて11曲を録音していくうちに、せっかちな性格の私も不思議と心も和んでしまったのはなぜ?

エンジニアの黒川さん、豊嶋さんをはじめ、プロデュースとアレンジをして下さった木村知之さんやピアニストの金山安佐子さん、そして今回のアルバム制作に関わって下さった全ての方々、きっと皆様が見守って下さったからでしょう。
 このアルバムを聞いて下さる皆さまも、少しでも心に和みを感じとっていただければ嬉しく思います。これからも国境やジャンルにとらわれず、自由な表現が出来る歌い手を目指したいと思っております。

どうか今後もhaolee、李浩麗を温かく見守って下さい。
2004年7月 李浩麗 



曲の試聴には、リアルプレーヤーが必要です。
右記サイトより無償ダウンロードしてください。

★Music
Vocal 李 浩麗/Piano 金山 安佐子/ Bass 木村 知之/
Percussion 光田 臣/Erhu(二胡) 王 秀華

★Produce
General Produce 木村 知之/Produce 李 浩麗/Supervisor 奥谷 護/
Record Studio K/Recording Engineer 黒川 公雄/
Assistant Engineer&Mastered 豊嶋 公基/Photograph 奥谷 護/
Graphic Design 松永 剛季/Hair Design 佐藤 貴子/Web Note 大倉カイリ

★Special thanks to
江弘毅/里吉賢司/瀬古英男/宮浦 仁/増田真典/李美静/
Lee's family&このアルバム制作に関わって下さった全ての方々


伝統音楽による実験的ともいえるアプローチ
 夕暮れが六甲の空を被う。赤黄色い光線のけだるい充満。
 それに酩酊するように目をほそめつつ、そのさきにふと立ちあらわれた蜃気楼のごとくの声がいやおうなしに耳をとらえる。
  「アアーーーーーッ」。母音がどこまでものびてゆくような、その独特な節回しの朗々とした響き。そのコブシ回しは日本人にも馴染みを感じさせる、実にオリエンタルなものだ。その声が発せられるイスラムモスクの尖塔を呆然と眺め、アザ−ン(*1)により呼び掛けられ礼拝へと向かう人々が我が近隣に多いことを知る。そして、それが神戸と言うまちの表情の一部であることを誇らし気に思うのだ。
 モスクの向いには日本では馴染みのない食材がならぶグロッサリーが、そのとなりは北京料理でその反対隣りが洋食屋、もうすぐ向こうがコンビニ、インド料理と、神戸では様々な国・民族・宗教がモ棲み分けモを実感している。そして李浩麗の生家もそこにある。
 問題がないわけでない。しかしローカルなレベルでの韓国・朝鮮人がいて、華僑がいて、欧米人種がいて、などの独自性をもった人間集団がいるなかで生まれ育ち、互いのことをよく理解せずとも「こちらもここに生活があり、彼らもまたここで生活している」を最低限認めあっている。それは他性をダイレクトな肌感覚でつたえる文化土壌ーー食文化のおかげだ。
 さきほど紹介したイスラムモスクの前で時折売られているケバブ屋台(*2)は舶来好みの観光客向けなどでない。礼拝にくる人たちの腹をみたすためにある。もちろん「汎」中国料理(台湾・ベトナムなどを含めて)、インド、韓国料理など様々も、他の都市のように存在するが、それらには電飾がまぶしい観光客向けとともに、地元に住むいわゆる「在日(わたしを含めての韓国・朝鮮人だけでない)」が日々利用する本格的な店が多い(下手をすればメニューも読めないか、読めたとしてもそれがどんな料理なのか察することがむずかしい)。
 しかし、神戸では誰もがこどもの頃から当たり前のようにそれぞれの店で異文化料理と出会い、異文化の作法によるサービスを受け、それぞれの言語に対し分からないながら接している。そこは日本における「ガイジン」のという異空間であり他者性の溢れる場所ではあるが、この地の多くの日本人や在日にはそれぞれの他文化を幼少の頃から目・鼻・耳で捉え憶えた実体験がある。
 他者はめずらしくも怖いものでもない。「文化」を通して他者を知る。これこそ相互理解の早道だし、音楽もまたそうであると信ずる。さて現状を見よう。やはり隆盛をきわめるグローバル市場の名のもと、若者社会へ世界標準として単純化されたようなポップスが広がりを見せ、音楽は表層的な「分りやすい/心地良い」のみが追求されてゆく様が目立つのは残念である一方で、ジャズやワールドミュージックといったその射程の広さが魅力である音達は、むかしから「分りにくい/むずかしい」とされやすく、コアなファン以外はとっつきにくいようだし、それが一部、ファッション的にスノヴィズムに弄ばれたりする。
 それはそれでかまわないのだが、我々、文化的実体験から得た喜びや共感を知るものにとって「それでいいのか。そうじゃないだろ」といっておきたくもなる。「マック」はうまいかもしれないが、もっとうまいものが世の中にはあるのだ。
「多くに共感される」は重要な要素ではあるが、「質より量」をもとめる音楽の単純化に対し、「良き音とは」の在り方を自らの倫理的理想とする現代の詩的歌人/アーティストを我々は求めている。「オリエンタル・ルーツ・ミュージック」と記されたCDジャケットを眺めながら、ふとそんなことが思い浮かんだ。
 ものを作る過程に喜びがある場合には必ずスタイルが生じ、従って生産活動自体が自ずと美的内容を持つに至る。(*3)
 このCDに収められた曲達から溢れたつ芳香は、自らの才能をもってボーダーラインを行き交い、かつ心地よい音を追求する才女によるスタイルの美学である。それはハイブリディ音楽云々、などといった建て前や知的好奇心というより、自らの生の軌跡(プロフィールを参照して頂きたい)といえる。
 そしてその独特加減が実にジャズ的なのだ。パブリックイメージで硬直したそれとは別に、定点を持たず、自らのルーツであるチャイニーズから日本、アジア、そして世界へと音スケールを拡げつつ、伝統音楽による実験的ともいえるアプローチは「グローバル」にさらされ何かを失いかけている世界の音楽文化へのひとつのささやかな可能性を感じさせるものと思えるし、それこそが様々なエスニティグループから成りたつ神戸という街にふさわしい響きを持つ「ジャズ」であるのは言うまでもない。

(*1):イスラム教における礼拝(サラート)への呼び掛け
(*2)ケバブ:シシケバブ(シシは「剣、串」、つまりは串焼き。そうでないものはケバブ)ともいわれアラブ・トルコやイスラム圏でみられる羊のひき肉などをパンなどに挟みたべる。
(*3)バートランド・ラッセル:英哲学者
大倉カイリ(ゴスペル店主)

「華心 hana kokoro」

中国には4000年を越える歴史があって、日本人は遣唐使を送って色々学んだというが、今の日本人は縁あって、このライナーを書いているこの僕も含めて、すぐお隣の中国について、あまり理解していない。でも、「世界の工場」として、安いモノを大量に作る国という位置づけから、いまや「モノを売りに行く国」としても、世界中の注目を浴びている、というくらいは知っている。
 日本の「ものつくり」が、安い工賃を求めて中国へ移転し、空洞化していることが問題だとかなんでもかんでも中国へ持ち込めば、あれだけ人がいるんだから、売れるだろうなんて考えたり。そんな中、あの女子十二楽坊の大活躍によって、僕たちには中国という国が、なんだか身近に感じられるようになったのも事実です。
 そんな時期に、台湾(中華民国)国籍の神戸生まれの、李 浩麗がこのアルバムで登場です。彼女のプロフィールがどうのこうのと書くよりは、まずこのアルバムで、彼女のヴォーカルを堪能していただきたい。彼女の透明感あふれるヴォイスは、新しいアジアンミュージックの幕開けです。
 中国青海省の民謡から始まり、中国のトラディショナルと勘違いしてしまうぼどの日本の名曲「蘇州夜曲」、韓国歌謡、喜納昌吉の世界的大ヒット曲「花」、李の故郷台湾の先住民民謡などなど。僕は、特に究極目いや九曲目の「天黒黒」、 ケイト・ブッシュを髣髴させ、お気に入りだ。
 音楽は、人々の心に直接語りかける世界共通の言葉です。あなたへの李 浩麗のファースト・メッセージがこのアルバムです。すでにこのアルバムを手にしているあなたは、もう李 浩麗音楽世界教の信者です。
毒舌の僕が、褒めすぎかな!

西川 幸

華心によせて

 李浩麗の歌を初めて聴いたのは阪神大地震直後の寒風吹きすさぶ瓦礫のなか。被災地の慰問演奏に奔走していた彼女のその時の歌「ふるさと」は、魂を揺さぶられるような感動を与えてくれました。
 めまぐるしい時の流れに押し流されて暮らす私たち。無表情に道ゆく人は、みんなハッピーな人のように思えてしまう。私だけ?こんなにも多くの思いを抱いて暮らしているのは。彼女の歌声がことさら私の心中奥深くにしみ込んでくるのは、こんな思いにふけるとき。
 李浩麗の歌は道ゆく人たちも私と同じように、たくさんの思いを抱えながら生きていることを教えてくれる。優しくしてほしい、優しい人でありたい。彼女の歌の世界にひたるとき、こんなことを考えたりします。
 彼女の故郷は台湾。日本のずっとずっと南の島。古くからその島に住む先住民族と、中国大陸から渡ってきた人たちが仲良く暮らす島。南の潮風に洗われた先住民族の素朴な音と、見渡す限りの大陸で生まれたおおらかな恋の歌も混然となって、李浩麗の世界が広がります。彼女の歌に私はいつも海流をイメージしてしまいます。日本をとりまく潮の流れが私たちにさまざまな異文化をもたらしてくれました。
 李浩麗の歌を聴くたびに、私たちの祖国も四方を大海に囲まれていること、その海のはるか先には長い歴史で混じりあった多くの民人の素朴な音源があることを想起します。
  音でつながる交流に言葉はいらない。そして、生きる者すべてが個では生きていけないことを教えてくれるのも、歌声の恵みだと思うのです。
選りすぐられた11曲の歌声。その扉を開け放って、あなたもぜひビタミンLee・「haolee」ワールドへ。

広島市 里吉賢司
(ノンフィクション『ふるさと』
http://www.urban.ne.jp/home/ojisan/

お問い合せ
(有)華音 サウンド企画部
〒650-0004 神戸市中央区中山手通2丁目14-10
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